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介護・ダブルケア

親が倒れたら最初にやること、共働きの初動マニュアル

この記事の要点

  • 親が倒れた直後の数日は「治療は病院に任せ、退院後の生活は自分が動く」と割り切る。この線引きが効く。
  • 最初にかける電話は二本だけ。病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)と、親が住む市区町村の地域包括支援センター
  • 要介護認定は結果が出るまで数週間。退院を待つと間に合わない。入院中に申請へ動く。
  • 共働きで一番やってはいけないのは「自分が全部やる」設計。仕事を畳む前に勤務先の介護休業・介護休暇を確認する。
  • きょうだい間で揉めるのは作業量より情報の偏り。役割と情報共有の場所を最初に一本決めておく。
完璧な段取りより、今日かける一本の電話のほうが、確実に効きます。

治療は病院、生活は自分。この線をまず引く

「お父さんが倒れた」「お母さんが運ばれた」。その電話を受けた瞬間、頭は真っ白になります。何から手をつけるか、ではなく、何が起きているのかすら整理できない。当たり前です。

ここで先に一本、線を引いてください。目の前のことは二つに分かれています。

ひとつは急性期の治療。これは医師と看護師の領域で、あなたが口を出す場面はほとんどありません。任せていい。もうひとつが退院後の暮らしをどう組み直すか。こっちが、家族にしか動かせない仕事です。

多くの人が最初の一週間を治療の心配だけで使い切ってしまい、退院が決まってから「で、家に帰ってどうするんだ」と慌てます。これが最悪の順番です。退院後の準備は、本人がまだ入院しているうちに始めるのが正解。共働きで時間がない人ほど、この「自分が判断すべきこと」と「専門職に渡していいこと」の仕分けが、残りの体力と気力を守ってくれます。

介護が始まった最初の1週間でやること
最初の1週間で踏む5つのステップあわてず、上流の窓口から順に。連絡先を押さえる主治医・親族・お金の在り処地域包括に相談高齢者の総合相談窓口へ要介護認定を申請市区町村の窓口で手続きケアマネ/サービス選定ケアプランを一緒に作るお金と仕事の段取り介護休業・費用の見通し

※自治体・容体により手順や窓口名は異なります。まずはお住まいの地域包括支援センターへ。

最初の数日、電話は二本でいい

完璧にやろうとしないでください。倒れた直後に介護全体を設計するのは無理だし、する必要もない。最初にやるのは「決める」ことではなく「つながる」ことです。順番はこうです。

  1. 病院の相談室を訪ねる。 たいていの病院には医療ソーシャルワーカー(MSW)がいます。退院後の見通し、介護保険の手続き、転院や施設の話まで、最初に相談できる相手です。「退院後のことを相談したい」と病棟の看護師に言えば、つないでくれます。
  2. 親が住む市区町村の地域包括支援センターに電話する。 介護の公的な総合窓口で、全国どの地域にも担当センターがあります。「(市区町村名) 地域包括支援センター」で検索すれば連絡先が出ます。親が遠方でも、まずここに電話一本でいい。
  3. 自分の勤務先の制度を確認する。 介護休業や介護休暇は、知っているか知らないかで取れる選択肢がまるで違います。後述します。
  4. お金と書類の在り処を押さえる。 健康保険証、介護保険被保険者証、年金、預貯金、加入している保険。本人が話せるうちに「どこにあるか」だけでも聞いておく。意識が戻らなくなってから探すのは地獄です。

この段階の目的は把握とつながり。窓口に一本入れておくだけで、「じゃあ次はこれを」と向こうが道筋を示してくれることが多い。自分で全部組み立てようとしないことです。

要介護認定は「退院を待つ」と確実に間に合わない

介護保険のサービスを使うには、原則として要介護認定が要ります。全体の流れはこうです。

段階誰が動くか内容
申請家族・本人市区町村の窓口、または地域包括支援センター経由で申請
調査・審査市区町村認定調査員の訪問調査と、かかりつけ医の意見書をもとに審査
認定市区町村要支援・要介護などの区分が通知される
計画作成ケアマネジャー区分に応じてケアプランを作り、サービスを調整

強調しておきたいのは一点だけ。申請から認定結果が出るまで、ふつう数週間かかります。 地域や状況で前後しますが、即日では出ない。だから退院日が決まってから動くと、サービスが整う前に親が家に戻ってくることになる。これが共働き世帯を直撃します。誰かが仕事を休んで穴を埋める羽目になるからです。

正解は、入院中の早い段階でMSWや地域包括に「認定を申請したい」と相談を始めること。本人が動けなくても家族が申請できます。

認定区分が出たら、在宅で介護するならケアマネジャー(介護支援専門員)が中心になって、訪問介護やデイサービスを組み合わせたケアプランを作ります。要支援なら地域包括支援センターが、要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネが担当するのが一般的。事業所選びに迷ったら、地域包括に「この辺りで評判のいいところは」と素直に聞く。地域の事情を踏まえて候補を挙げてくれます。

仕事を畳む前に、勤務先の制度を必ず開く

共働きで最も避けたい失敗は、介護のために働き方そのものを見失うことです。動転して退職や時短に飛びつく前に、勤務先に何があるかを開いてください。

公的な仕組みとして、対象家族の介護のためにまとまった期間休める介護休業、通院の付き添いなど短い用事に使える介護休暇があります。日数や給付の有無、取得の条件は法令と勤務先の規定で決まり、家族構成や雇用形態で変わります。就業規則を読むか、人事に直接聞くのが早い。

そしてここが肝心。自分が全部抱える設計にしないこと。 介護がいつ終わるかは誰にも読めません。半年かもしれないし、五年かもしれない。「自分がやる」前提で走り出すと、仕事も自分の家庭も先に倒れます。訪問介護、デイサービス、施設、見守り機器。渡せる部分は専門職と仕組みに渡す。この発想を初日に持てるかどうかが、働き続けられるかの分かれ目です。介護離職して困窮するのが、いちばん親孝行から遠い結末だと思ってください。

きょうだいで揉める前に、二つだけ決めておく

介護で人が疲弊する最大の原因は、作業そのものより、家族間の連絡と認識のズレです。「聞いてない」「なんで勝手に決めた」「結局いつも私ばっかり」。これで親族関係が壊れる家を、いくつも見ます。先に二つ決めておくだけで、かなり防げます。

役割を言葉にして割り振る

「病院の窓口は誰」「手続きは誰」「お金の管理は誰」。早い段階で配偶者やきょうだいと口に出して決める。曖昧なまま進むと、近くに住む一人や、断れない性格の一人に全部のしかかり、不公平感が後から噴き出します。完璧な分担でなくていい。仮で決めて、回しながら直す。それで十分です。

情報を一か所に集める

病院の説明、認定の進み具合、ケアマネとのやり取り、お金の出入り。これが各自の頭の中に散らばると、確認のたびに電話とLINEが飛び交い、それ自体が疲れの元になります。家族全員が見られる共有メモやグループチャットを一つ作り、そこに集約する。説明の重複が消え、判断も速くなります。

電話で相談する後ろ姿
電話で相談する後ろ姿

今日効く一歩は、電話を一本かけること

親が倒れた直後に、計画なんて立てられません。立てなくていい。まず病院の相談室と、親の市区町村の地域包括支援センター。この二つにつながることから始めてください。そこから先は専門職が次の手を示してくれます。

完璧な段取りより、今日かける一本の電話のほうが、確実に効きます。

本記事は2024〜2025年時点の一般的な制度・情報の整理です。要介護認定や介護休業の条件、自己負担の割合などは改正されることがあり、医師の診断や専門職の助言に代わるものではありません。具体的な手続きや判断は、市区町村の窓口・地域包括支援センター・専門家にご確認ください。

親が倒れた直後、最初の数日でやることチェックリスト

  • 治療は病院、退院後の生活は自分、と役割の線を引く
  • 病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に退院後を相談する
  • 親の市区町村の地域包括支援センターに電話する
  • 入院中の早い段階で要介護認定の申請に動く
  • 勤務先の介護休業・介護休暇の有無と条件を確認する
  • きょうだいで役割を割り振り、情報共有の場所を一つ決める

よくある質問

親が倒れたとき、共働きの私たちがまず最初にすべきことは何ですか。

救急対応の落ち着きを取り戻したら、入院先・病名・主治医を一元化し、夫婦で連絡窓口を一本化することが要です。あわせて親の保険証や常用薬、緊急連絡先の所在を確認します。早い段階で病院の医療ソーシャルワーカーへ相談すると、その後の手続きの見通しが立ちやすくなります。

仕事を休まずに親の介護に対応する制度はありますか。

一般に、対象家族の介護のために取得できる休暇・休業の仕組みが法律上整備されており、勤務先の規程で運用されています。短期の休暇と一定期間の休業では要件や日数が異なります。取得可能日数や賃金の扱いは制度改正で変わり得るため、最新は勤務先の人事や公式情報、社労士へご確認ください。

要介護認定は誰がどこへ申請するのですか。すぐに使えますか。

一般に、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターへ申請し、訪問調査と審査を経て認定されます。申請から結果まで一定の期間を要しますが、退院前から並行して動くと在宅・施設の準備が滞りません。具体の手順や必要書類は自治体で異なるため、公式の案内や専門職へご確認ください。

医療費が高額になりそうです。負担を抑える方法はありますか。

一般に、医療費が一定額を超えた場合に自己負担を抑える公的な仕組みがあり、事前に認定を受けておくと窓口での支払いを軽減できる場合があります。対象範囲や上限額は所得区分や改正で変わるため、断定はできません。本記事は一般的情報であり、最新の適用条件は公式情報・専門家へご確認ください。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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