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賃貸併用住宅・セカンドハウス、住宅ローンで持てる範囲と注意点

この記事の要点

  • 住宅ローンは原則「自分が住む家」のための融資。賃貸併用住宅やセカンドハウスは、この原則からどれだけ外れるかで使える範囲が変わる、とまず押さえる。
  • 賃貸併用住宅は、自宅部分の割合など金融機関の条件を満たせば、建物全体に住宅ローン(低金利・長期・控除)が使えることがある。この恩恵が最大の魅力。
  • セカンドハウスは「住むための家」なので融資自体は受けやすいが、一般に金利は住宅ローンより高め、住宅ローン控除は原則対象外と考えておく。
  • 投資化の本当の落とし穴は金利ではなく、空室・家賃下落・管理の手間・売りにくさ。家賃収入をローン返済の前提に組むほど、空いた瞬間に家計が傾く。
  • 「自宅向けの安い住宅ローンで実質は投資物件を買う」のは不正利用にあたり、一括返済を求められる重大なリスク。資産化と規約違反は別物。
住宅ローンは「自分が住む家」への融資。賃貸併用もセカンドハウスも、その原則からどれだけ外れるかで、使える条件も背負うリスクも決まる。

「自宅をもう少し働かせたい」という気持ちの正体

家を持ったあと、ふと思う。同じ買うなら、住むだけでなく少し稼いでくれる家にできないか。一階を貸せば家賃でローンが軽くなるのでは。週末用にもう一軒持てば、暮らしも資産も広がるのでは。上を目指す人ほど、自然に湧いてくる発想だと思う。その意欲そのものは、まっとうなものだ。

ただ、その入口でつまずく人が多い。理由はほぼ一つ。住宅ローンという最大の武器が、どこまで使えるかを取り違えているからだ。住宅ローンは、数ある借入のなかでも飛び抜けて低金利・長期で、税制上の優遇も受けられる。この武器が使えるか使えないかで、同じ「家で稼ぐ」計画でも、難易度がまるで変わる。

この記事では、相場や利回りの予想はしない。賃貸併用住宅とセカンドハウスについて、住宅ローンがどこまで届くのか、そして収益化に踏み込むと何が起きるのか。コントロールできる構造の部分だけを、順を追って整理する。なお融資条件や税制は金融機関・時期で変わるため、具体的な数字は必ず窓口と専門家で確かめてほしい。

住宅ローンの大原則 ── 「自分が住む家」のための融資

すべての出発点はここにある。住宅ローンは、本人やその家族が住むための家を取得する目的で設計された融資だ。だからこそ低金利で長く借りられ、住宅ローン控除のような優遇もつく。逆に言えば、「人に貸して家賃を取る」ための物件は、本来この枠の外側にある。そこに使うのは、より金利の高いアパートローンや不動産投資ローンというのが一般的な整理だ。

この一線を頭に入れると、二つのテーマの位置づけがすっきり見える。賃貸併用住宅は「自宅と貸し家がひとつ屋根の下に同居している」状態、セカンドハウスは「貸さないが、メインでもない自分の家」。どちらも純粋な自宅から少しずつ外れていく。原則からどれだけ外れるかが、そのまま住宅ローンの使える範囲と、背負うリスクの重さを決める。

住宅ローンが使えるかどうかは、その家が「あなたが住む家」とどれだけ言えるかで決まる。家賃収入の魅力に引っ張られるほど、この原則から離れていく。

賃貸と購入の累計住居コスト(概念イメージ)
累計住居コスト(イメージ・指数)0408012016005101520253035経過年数(年)おおむね19年前後で逆転賃貸(家賃が積み上がる)購入(ローン+維持費)

※金利・物件価格・家賃・住む年数で結果は大きく変わる概念図です。実際の数値は必ずご確認ください。

賃貸併用住宅 ── 条件を満たせば武器が丸ごと使える

賃貸併用住宅は、一棟の中に自宅部分と賃貸部分を併せ持つ家だ。たとえば一階を賃貸、二階を自宅にする。最大の魅力は、一定の条件を満たせば、建物全体を住宅ローンで賄える場合があること。賃貸部分まで含めて低金利・長期で借りられるなら、これは強い。

その条件として、一般によく挙げられるのが自宅部分が建物の床面積の半分以上を占めること(目安として50%以上)だ。自宅が主、賃貸が従、という建付けを保てるかどうか。基準は金融機関ごとに異なり、賃貸部分の割合や間取りで扱いが変わることもある。あくまで一般的な目安として捉えてほしい。

家賃が入る面の魅力は確かにある。一方で、見落とされがちな注意点も整理しておく。

  • 住宅ローン控除の扱い: 一般に、控除の対象は自宅部分に対応する分に限られるなど、住居全体とは扱いが違うことがある。賃貸部分まで含めて満額効く、と単純には考えないほうがいい。
  • 間取りの自由が利きにくい: 自宅と賃貸を分ける構造上、設計の制約が出る。将来売るときに「自宅向きでも投資向きでもない」と買い手が限られ、売りにくくなる例もある。
  • 大家業がついてくる: 入居者の募集、修繕、トラブル対応が日常に加わる。共働きで時間がない世帯ほど、この手間は重い。管理会社に任せれば費用がかかる。

つまり賃貸併用住宅は、住宅ローンという武器を貸し家にまで広げられる代わりに、設計・出口・運営の自由度を差し出す取引だ。家賃でローンが軽くなる絵だけでなく、空室時に自宅分も含めて自力で返せるか、まで見て判断したい。

セカンドハウス ── 借りやすいが、自宅ほど甘くはない

セカンドハウスは、別荘や平日用の住まいなど、自分が使うがメインの住居ではない家を指す。人に貸さず自分で使う点で、賃貸併用住宅とは性格が違う。「住むための家」である以上、純粋な投資物件より融資の土俵には乗りやすい。ただし、メインの自宅と同じ条件、とはいかないのが普通だ。

一般的な傾向として、メインの住宅ローンと比べたときの違いを並べておく。数字は金融機関で大きく異なるので、方向感として読んでほしい。

観点メインの自宅(住宅ローン)セカンドハウス
金利もっとも低い水準一般にやや高めになりやすい
審査標準二件分の返済を見るため厳しめになりやすい
住宅ローン控除要件を満たせば対象一般に対象外と考えておく
借入可能額収入に応じた枠既存ローンを差し引いた残りで判断されやすい

ポイントは二つ。第一に、二本の返済を同時に背負える返済力があるかどうかが、審査でも家計でも問われる。第二に、税の優遇は自宅ほど手厚くない前提で資金計画を立てること。「二軒目も控除で得をする」と早合点すると、見込みが狂う。

そして大事な区別を一つ。セカンドハウスは自分で使うから融資の対象になる。これを後から人に貸して家賃を取り始めると、話は次の節の「投資化」に変わる。当初の前提が崩れる行為だと意識しておきたい。

投資化の落とし穴 ── 怖いのは金利ではなく空室と出口

ここが本題だ。賃貸併用にしろセカンドハウスの賃貸転用にしろ、「家賃で稼ぐ」へ一歩踏み込むと、自宅にはなかったリスクが顔を出す。順に分解する。

空室と家賃下落 ── 前提が崩れる瞬間

家賃収入をローン返済の原資に織り込むほど、空いた瞬間に家計が傾く。家賃は永遠に満額入る前提で計画してはいけない。築年が進めば家賃は下がりやすく、周辺に新しい物件が増えれば入居者は流れる。たとえば毎月8万円の家賃を返済に当て込んでいた部屋が、半年空くだけで、その間の返済は丸ごと自分の財布から出る。これは想定外の出費ではなく、賃貸につきものの通常リスクだ。空室が続いても自宅分まで含めて返せる体力があるか、ここが生死を分ける。

管理の手間とコスト ── 家賃は丸ごと残らない

家賃が入っても、そのまま手元には残らない。入居者募集の費用、退去時の原状回復、設備の修繕、固定資産税、管理会社に任せれば管理料。これらを引いた後が本当の取り分だ。表面的な利回りに惹かれて、こうした経費を見ない計画は、後で帳尻が合わなくなる。

出口の難しさ ── 売りたいときに売れるか

賃貸併用住宅は、買い手が「自宅として住みたい人」と「投資として持ちたい人」のどちらにも完全には刺さりにくく、売却に時間がかかることがある。資産化のつもりが、いざ手放すときに換金しづらい。入口だけでなく出口まで描けて初めて、資産化と呼べる

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絶対に踏んではいけない一線 ── 住宅ローンの不正利用

最後に、ここだけは譲れない注意点を。「自宅向けの安い住宅ローンを使って、実態は人に貸す投資物件を買う」── これは制度の目的に反する不正利用にあたる。低金利の魅力につけ込んで、本来は投資ローンで買うべき物件を住宅ローンで通そうとする行為だ。

これが発覚すると、一般に金融機関から融資の一括返済を求められるなど、極めて重い結果につながり得る。低金利でうまくやったつもりが、いちばん高くつく。資産を増やすどころか、土台ごと崩れる話だ。

誤解しないでほしいのは、賃貸併用住宅を正規の条件のもとで建てて貸すことや、セカンドハウスを自分で使うことは、まっとうな選択だということ。問題は、本来の用途を偽って安い融資を引くことにある。資産化と規約違反は、はっきり別物だ。迷ったら、その物件の使い方を正直に申告したうえで、どの融資が正しい枠なのかを金融機関に確認する。これがいちばん安全で、結局いちばん近道になる。

まとめ ── 武器の届く範囲を見極めてから動く

自宅をプラスαで働かせたい、その意欲は資産形成の入口として正しい。ただし勢いだけで進むと、最大の武器である住宅ローンの射程を読み違えて、かえって遠回りになる。整理しよう。

賃貸併用住宅は、自宅部分の割合など条件を満たせば住宅ローンを建物全体に広げられる代わりに、設計・運営・出口の自由を差し出す取引。セカンドハウスは「住む家」だから融資は受けやすいが、金利は高め・控除は原則対象外で、二本の返済を背負う体力が要る。そして収益化に踏み込むほど、空室・家賃下落・管理コスト・売りにくさという、自宅にはなかったリスクが乗ってくる。最後に、用途を偽って安い融資を引くのは、すべてを失いかねない一線だ。

やるべきことは、相場予想ではない。その家を自分がどう使うのかを正直に定め、そのうえで「どの融資が正しい枠か」を金融機関に確認する。この順番を守れば、漠然とした上昇志向は、足の着いた資産戦略に変わる。自分の状況で何が使えそうか方向性を確かめたい人は、無料診断も入口に使ってみてほしい。

本記事の融資・税・制度の内容は一般的な目安であり、金融機関や時期、税制改正によって変わります。賃貸併用住宅やセカンドハウスへの住宅ローンの可否・条件、控除の適用は、物件や個別事情で大きく異なります。最新かつ正確な情報は、金融機関・税務署・税理士・宅地建物取引業者・ファイナンシャルプランナーなど公式機関や専門家へ必ずご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、融資・税務・法務上の個別助言に代わるものではありません。

賃貸併用・セカンドハウスを検討する前にやること

  • その家を「自分が住む」のか「人に貸す」のか、用途を正直に書き出して整理する
  • 賃貸併用なら、自宅部分の割合など住宅ローンが使える条件を複数の金融機関に確認する
  • セカンドハウスは金利が高め・控除は原則対象外の前提で、二本分の返済力を家計から確認する
  • 家賃収入をゼロと仮定しても、自宅部分まで含めてローンを返せるか試算する
  • 空室・家賃下落・修繕・管理料・税金を差し引いた後の手取りで採算を見直す
  • 用途を偽って住宅ローンを使う計画になっていないか点検し、不明点は金融機関に申告して確認する

よくある質問

賃貸併用住宅は住宅ローンで建てられますか?

一般に、自宅部分が建物の床面積の半分以上を占めるなど金融機関の条件を満たせば、建物全体を住宅ローンで賄える場合があるとされます。ただし基準は金融機関ごとに異なり、賃貸部分の割合で扱いが変わることもあります。住宅ローン控除も自宅部分に限られるなど扱いが分かれるため、可否と条件は各金融機関や専門家へご確認ください。

セカンドハウスのローンは住宅ローンと同じ条件で借りられますか?

一般には、セカンドハウスは「住むための家」なので融資の対象にはなりやすい一方、金利は通常の住宅ローンよりやや高めになりやすく、住宅ローン控除は原則対象外と考えておくのが無難です。二件分の返済を見るため審査も厳しめになりやすいとされます。条件は金融機関で大きく異なるため、最新は窓口でご確認ください。

住宅ローンで買った家を後から賃貸に出してもよいですか?

当初「自分が住む」前提で組んだ住宅ローンの物件を、最初から貸す目的で取得していた場合は不正利用にあたり、一般に一括返済を求められるなど重い結果につながり得るとされます。転勤などやむを得ない事情で貸す場合の扱いも金融機関により異なります。いずれも自己判断せず、必ず借入先の金融機関に相談・確認してください。

賃貸併用住宅は資産として有利ですか?

一概には言えません。家賃でローン負担を軽くできる可能性がある一方、空室や家賃下落、管理の手間、そして自宅にも投資にも振り切れず売りにくいといった出口の難しさもあります。表面利回りだけでなく、経費差引後の手取りと売却のしやすさまで含めた総合判断が一般的です。個別の採算は不動産会社やファイナンシャルプランナーへご相談ください。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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