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親から住宅資金を援助してもらうとき、贈与税の非課税特例の考え方

この記事の要点

  • 父母や祖父母(直系尊属)からの住宅取得資金の贈与には、一定額まで贈与税がかからない非課税特例が設けられているとされます。
  • 非課税限度額は住宅の質で異なり、省エネ等住宅で1,000万円・それ以外で500万円が目安とされます。時限措置のため、最新の条件は国税庁で確認を。
  • 特例は非課税でも申告が必要。贈与を受けた翌年の申告期限までに贈与税の申告をしないと適用されないとされ、ここが最大の急所です。
  • 贈与の翌年3月15日までに住宅を取得し居住する、という期限の目安があり、贈与のタイミングは引き渡し・入居の工程表とセットで設計する必要があります。
  • 出したお金と登記の持分(名義)がずれると夫婦間の贈与とみなされる可能性が指摘されており、資金の出所と持分の一致が原則。配偶者の親からの贈与は特例の対象外とされます。
  • 金額が大きい・名義が複雑な場合は、実行前に税務署の相談窓口や税理士など専門家への確認が確実です。
非課税は「自動で適用」ではなく「申告して初めて使える」。そして、出したお金と名義の一致が、すべての土台になる。

「ありがたい話」ほど、聞きづらい

「頭金、少し出そうか」——親からそんな言葉をもらったとき、ありがたさと同時に、小さな不安がよぎった方は少なくないはずです。税金はかからないのだろうか。いくらまでなら大丈夫なのか。そして、いい歳をして親に頼ることを、誰かに相談するのも少し気が引ける。お金の話は、同僚にもママ友にも聞きづらいテーマの筆頭です。

けれど、親からの住宅資金の援助は、税制の側にきちんと「通り道」が用意されている分野です。仕組みを知らないまま進めて思わぬ税負担を招くことも、逆に遠慮して使える枠を使わないことも、どちらももったいない。この記事では、住宅取得等資金の贈与税非課税特例の考え方を、共働き世帯が特につまずきやすい「共有持分と名義」の論点まで含めて、一般論として静かに整理します。

制度の骨格——「住宅のための贈与」にだけ開かれた非課税枠

まず原則から。個人から財産をもらうと贈与税の対象になり、暦年課税では年110万円の基礎控除を超えた部分に課税されるのが基本とされています。親からまとまった住宅資金を受け取れば、本来はこの原則に触れる金額になります。

そこで設けられているのが、直系尊属(父母や祖父母)から、自分が住むための住宅の新築・取得・増改築の資金として贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税を非課税とする特例です。限度額は住宅の質によって異なるとされています。

住宅の区分非課税限度額の目安
省エネ等住宅(一定の省エネ性能などを満たす住宅)1,000万円
上記以外の住宅500万円

この特例は適用期限が区切られた時限措置で、限度額や省エネ基準はこれまでも改正のたびに見直されてきました。また、暦年課税の基礎控除110万円(または相続時精算課税)と併用できるとされている点も、押さえておきたい骨格の一つです。最新の条件は、国税庁の公表情報で確認するのが確実です。

世帯年収別・iDeCo等による年間節税額の目安
年間の節税額(万円)0481216約5.5万円世帯年収〜700万円約8.2万円〜1,000万円約13.5万円〜1,500万円iDeCoの掛金は全額が所得控除。税率が高い高所得世帯ほど戻りが大きい。

※掛金上限・税率・家族構成・他の控除で大きく変動します。実額はシミュレーションでご確認ください。

使うための条件——「誰が」「どんな家を」「いつまでに」

特例には「誰が」「どんな家を」「いつまでに」という三つの軸で要件が定められています。代表的なものを一般論として挙げると、次のような姿です。

  • 受け取る人:贈与者の直系卑属(子・孫)で、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること。合計所得金額に上限(2,000万円以下が目安。小さめの住宅ではより厳しい基準)があるとされます。
  • 住宅:床面積40㎡以上240㎡以下が目安で、2分の1以上を自分の居住用にすること。上限の大きい「省エネ等住宅」の枠を使うには、省エネ性能などを証明する書類が必要とされます。
  • 期限:贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し、居住する(または居住が確実と見込まれる)ことが求められるとされます。

特に注意したいのが最後の期限です。年末に贈与を受けたあと物件の引き渡しが遅れると、期限に間に合わず特例が使えなくなるおそれが一般に指摘されています。贈与のタイミングは、契約・引き渡し・入居の工程表とセットで設計する——これが実務上の要諦とされます。

最大の急所——非課税でも、申告しなければ使えない

この特例で最も語られるべき急所は、金額でも要件でもなく、手続きです。

非課税の特例は、黙っていても適用されるものではなく、期限内に申告して初めて使える仕組みとされています。

結果として納める税額がゼロでも、贈与を受けた年の翌年の申告期間(2月1日から3月15日が目安)に、贈与税の申告書と添付書類を提出することが適用の条件とされています。「非課税の範囲内だから何もしなくていい」と思い込んで申告を逃すと、特例が受けられず、原則どおりの贈与税がかかるおそれがある——これが、この制度で「損をする」典型例として一般に挙げられるパターンです。

援助の話がまとまったら、入居や住宅ローン控除の手続きと並べて、贈与税の申告をカレンダーに入れるところまでが一連の流れだと考えておくと安全です。

共有持分と贈与税——「出したお金」と「名義」を一致させる

共働き世帯がもう一つ見落としやすいのが、援助と登記の持分の関係です。不動産の名義(持分割合)は、頭金・ローン・諸費用を誰がどれだけ負担したかに応じて決めるのが原則とされており、実際の負担とずれた持分で登記すると、その差額が夫婦間の贈与とみなされる可能性が一般に指摘されています。

ここに親からの援助が加わると、確認すべき線はもう一本増えます。この特例は「贈与を受けた本人が、その資金で自分の住宅(持分)を取得する」ことが前提とされているためです。たとえば妻の親からの援助を夫の単独名義の住宅に充ててしまうと、特例の前提が崩れるうえ、妻から夫への贈与という別の問題が生じかねないとされます。あわせて、配偶者の親からの贈与はこの特例の対象外とされている点も重要です。援助は「誰から誰へ」の線を崩さずに受け取ることが基本になります。

ペアローンや共有名義を予定している世帯なら、「どの資金が・誰から・誰に渡り・どの持分になるのか」を一枚の表にしてから登記に進むこと。援助の金額を決めるより先にこのお金の地図を描くことが、後々の税務リスクを静かに減らしてくれます。

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まとめ

親からの住宅資金の援助には、直系尊属からの住宅取得等資金について一定額まで贈与税を非課税とする特例が用意されているとされます。骨格は三つ——要件(誰が・どんな家を・いつまでに)を満たすこと、非課税でも期限内に申告すること、出したお金と登記の持分を一致させることです。

制度は時限措置で、限度額も基準も見直されうるため、実行前には国税庁の最新情報を確認し、金額が大きい場合や名義が複雑な場合は税務署の相談窓口や税理士に個別に確認するのが確実です。聞きづらかった話も、構造を知ってからなら短い質問で済みます。親の厚意を、家族の誰にも余計な税負担を残さないかたちで受け取る——そのための準備は、この程度の分量で足りるはずです。

親からの住宅資金援助、動く前の確認リスト

  • 国税庁サイトで「住宅取得等資金の贈与」の最新の非課税限度額・要件・適用期限を確認する
  • 援助を受ける人(受贈者)の年齢や所得などの要件に当てはまるか、夫婦それぞれについて確認する
  • 契約・引き渡し・入居のスケジュールが「贈与の翌年3月15日」という期限の目安に収まるか、工程表に落とす
  • 頭金・ローン・諸費用・援助の出所を一覧にし、登記予定の持分割合と一致しているか確認する
  • 非課税でも贈与税の申告が必要である前提で、申告期限と必要書類をカレンダーに入れる
  • 金額が大きい・名義が複雑など迷う点は、資金を動かす前に税務署の相談窓口や税理士に確認する

よくある質問

親からの住宅資金の援助は、いくらまで税金がかからないのですか?

一般に、暦年課税では年110万円の基礎控除があり、住宅取得資金についてはこれとは別に非課税特例(省エネ等住宅で1,000万円・それ以外で500万円が目安)が設けられているとされます。時限措置で条件は見直されうるため、実行前に国税庁の最新情報や税理士への確認をおすすめします。

非課税の範囲内なら、申告はしなくてもよいのでしょうか?

一般に、この特例は期限内の贈与税申告が適用の条件とされており、納める税額がゼロでも申告が必要とされています。申告を逃すと特例が受けられないおそれがあるため、贈与を受けた翌年の申告期間(2月1日〜3月15日が目安)を必ず確認してください。

妻の親からの援助を、夫名義の住宅に充てても問題ありませんか?

一般に、この特例は贈与を受けた本人がその資金で自分の住宅(持分)を取得することが前提とされ、配偶者の親からの贈与は対象外とされています。資金の出所と登記の持分がずれると夫婦間の贈与と扱われる可能性も指摘されているため、登記前に税理士など専門家への確認が確実です。

援助を受けると、将来の親の相続で不利になりませんか?

一般に、この特例で非課税とされた部分は相続財産への加算(生前贈与加算)の対象外とされています。ただし相続全体への影響は家族構成や資産状況によって異なるため、金額が大きい場合は相続も含めて税理士等に相談するのが安心です。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務・投資・医療上の助言ではありません。税率・控除・限度額・助成などの制度は改正により変わります。最新かつ正確な情報は公式機関の発表や専門家へのご確認をお願いします。

文・編集/世帯白書 編集部 ・ 監修:準備中(公開時に有資格者を明記します)

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